「博士の愛した数式」という本を、先ほど読み終えました。
つまり、その本を読み終えてすぐこの記事を書いているということです。
すいすい読めて面白かったですが、気になることが一つあったので、忘れないように、読み終えたこのタイミングで僕の意見を書いておこうと思います。
※ネタバレしてます。気をつけてください。
感想
僕が気になっているのは、ただ一つ、
<eπi + 1 = 0>
という、この本の中に登場する最も重要であろうこの数式の意味です。 これはオイラーの公式だそうです。
(本書を読んだことない人でこの物語のあらすじを知りたい方は、他の人のレビューなんかを読んで知ってください。この式の登場場面を知っている前提で述べます。)
この数式は、数学博士とその家政婦とルート(家政婦の子)と未亡人(博士の弟の嫁)が、食卓を険悪なムードで囲っていた時に登場し、その場面を一気に救ってくれるのですが、その数式についての直接の説明が本の中ではありませんでした。
物語には、数式や数学の内容が多く出現します。その中でも場面的に、これが博士の愛した数式であると、とらえてもいいぐらいの重要な数式。だからこそ様々な場面から読み取っていかないといく必要がありました。
ところが、それを面倒くさがり、すぐにレビューをググり始めた僕は、以下のサイトにたどり着きました。
非常に読みやすいレビューでした。そして、僕はその中のある部分を読んで、上の数式の意味をもう一度考えることにしました。
物語の中で博士は「0」の素晴らしさ、美しさを主張していました。そのことは、長く深い付き合いであろう未亡人も知っているはずです。上のオイラーの公式も未亡人は見た瞬間すぐに理解して落ち着きを取り戻していったため、知っているはずです。
では、そこでなぜ落ち着きを取り戻したのか、その式は何を意味していたのか。
もともと、数式の左辺のそれぞれの記号がその食卓を囲っている場面の4人のいずれかをさしており、それは0という美しい存在に収められる、という風に僕は思っていました。
しかし、左辺の「e」「π」「i」「1」がどの人物にも当てはまるような気がしたので意味を理解するのにまだまだ戸惑っていたのです。
それがなんとなく、先ほどのレビュー内の以下の文章によって掴めてきたのです。
ほう。
僕はもう一度考えてみました。
まず、「−1」について。
そのレビューを書いた方は、「1」「−1」を未亡人としているのですが、僕の中では別の人です。というか、「eπi + 1 = 0」と「eπi = - 1」では「1」と「−1」の人物が変わってきます。
僕は、「eπi + 1 = 0」の「1」=「家政婦とルート」、「eπi = - 1」の「−1」=「未亡人の旦那(博士の兄)」だと思っています。
さらに「e」は博士、「π」は未亡人です。そして、その二人が心の中で支え合っている様子を表しているのが「i」です。
そうすると、僕の中での数式の解釈はこうです。
博士と未亡人が一緒になろうとすると誰かが「−1」になってしまう。実際に、旦那(博士の兄)が亡くなった。二人の周りにくる多くの家政婦さんたちも退いていく。「0」のように美しく存在するにはどうすればよいのか。そうだ、「+1」に変えてみてはどうだろうか。美しく存在するものに変えられるではないか。大丈夫、二人の関係は変わらない。二人以外の誰かがいてこそ美しく存在できるのだ、と。
そうして、「eπi + 1 = 0」を提案したと考えました。
であれば、「+1」することの大切さに気づかせてくれた家政婦とルートには感謝しなければなりません。
未亡人もすぐに察するところがすごいです。そこからは、一瞬家政婦(ルートのお母さん)に敵意を見せるときもありますが、共に過ごす時が多くなっていっています。
少し考えすぎかもしれませんが、以上が僕の一番重要な数式から考える意見です。
全体的には、心温まる文学小説でした。
文学小説を読むのは久しぶりだったのですが、流石に名作なだけあって面白かったです。
基本小説はスッキリ解決するので推理系が好きなのですが、たまにはこういうのも読んで自分なりの答えを考えていくのも面白いと感じました。
本はまあまあ読むのですが、その感想記事は超久しぶりとなりました。
【本の感想】「ファイト」(佐藤賢一):闘い続けたレジェンドボクサー、その意思は今もまだ強く。 - インディーは考えた! 以来、2回目です。
ボクシングばっかりじゃないんですよ笑。
また、気になるのあったら書きます。
ではでは。
(2019/2/5、一部修正しました)